連載企画「知はうごく」も、7月4日付で最終回となります。これまでお読みいただいた皆様に感謝申し上げます。今回は、半年間の連載を振り返り、われわれが考えてきたことや、企画の方向性が定まるまでの裏話を紹介します。
■「知的財産」というテーマをどう描くか? 昨年11月ごろから取材班で議論を重ねましたが、対象となる領域が広く、方針はなかなか固まりませんでした。
私(上野)が真っ先に思い浮かんだのは、特許とか知財権紛争(裁判)でしたが、「それでは内容が堅苦しくて一般の読者の方々に読んでもらえない」との意見が大勢でした。そこで第1部は、身近な音楽、映画、小説、漫画に関連する「著作権」をテーマに取り上げました。
■また、インターネットとの連動については、取材班のリーダーである谷口正晃記者が強力に推進しました。イザ!ブログでもおなじみの谷口記者は、かつてシリコンバレー駐在経験もあるIT担当記者で、新聞とネットの融合に向けてさまざまなアイデアを抱いています。「知はうごく」で、アイデアの数々を実現しようとの意気込みでした。
■その第1部で予想以上に多くの反響をいただいたことから、第2部は第1部の延長戦として「コンテンツ産業」をテーマにしました。第1部と重複する部分が多いため、旧来の新聞編集の感覚なら類似のテーマは避けたかも知れません。しかし「知はうごく」はネットとの融合を目指しているため、読者の関心が高く、よく読んでいただけるであろう話題を最優先にした次第です。取材班メンバーには、「第1部で書ききれなかったネタをもっと伝えたい」という思いもありました。
■第3部のテーマは「デザイン・ブランド」。知財権の分類としては意匠権と商標権になりますが、単なる法律的な権利にとどまらず、「日本ブランド」という大きな枠組みで知的財産を捉えようと心がけました。一方で、人々の感性に訴えるビジネスの現場にも迫ろうと努めました。面白い切り口で提示できたと自負しています。
また、連載開始前からの懸案だった中国取材を第3部に向けて敢行しました。中国は特許、意匠、商標、著作権のいずれについても多くの問題を抱えていますが、「ファッション」と「日本食」というユニークな視点で中国の現状を紹介しました。第4部で取り上げた上海での模倣品摘発現場も、この時に取材したものです。
■第4部は、最終編ということもあって、「特許」「中国など途上国の知財侵害問題」「日本政府の知財戦略」「知財人材育成」などを包括的に描こうとしました。このため、新聞紙面では1面の狭いスペースでなく、経済面に広いスペースをもらって展開しました。1~3部で取り上げられなかったテーマを“寄せ集めた”感もありますが、それなり読み応えのある構成にできたと思っています。
■ここからは内情の暴露と愚痴&反省です… 当初は「大型連載企画」と銘打って、経済、社会、文化部を横断した取材班が発足したにも関わらず、それぞれ部内の事情もあって1人抜け、2人抜け…第4部はほとんど2人だけで書くことになってしまいました。残された私などは「こんなはずじゃなかったのに」と複雑な思いを抱くとともに、当初掲げたインタラクティブ(双方向的)な取り組みを十分にできず、読者の皆様の期待に応えられなかったことをとても心苦しく思っています。取り組みが中途半端だった部分については、申し訳ありませんでした。
■しかし、私たちにはたくさんの成果がありました。読者の皆様との双方向性を志向した今回の取り組みは、近い将来、さらに発展させられると確信しています。また、動画推進室の中井誠記者、後藤徹二デスクとともに映像ニュースの充実を図り、産経WEB上でこれまでにない本数と質の映像を提供できました。撮影、編集も含め、貴重な経験となりました。そう遠くないうちに、第2の「知はうごく」的な取り組みができれば…谷口記者とともに思いを巡らせています。
連載は終了しますが、これからもこのブログや「ご意見フォーム」を通じてご意見、ご感想をお寄せいただければ幸いです。 (上野嘉之)


by niank
違法DVD販売の現場!!